福岡県 福岡市役所 国際政策課 様
導入事例

KOTOBALを活用して窓口での多言語対応の充実を図る
職員の利用回数も約7倍に激増

福岡県 福岡市役所 国際政策課

担当者名:
総務企画局国際政策課 植木 幸佑 様
博多区総務課 小池 幸子 様

業種:自治体
職員数:17,957名(令和5年4月現在)
164万人の人口を誇る福岡市では外国人住民の増加も著しく、2023年(令和5年)時点の外国人人口は、1989年(平成元年)の9千人強から4万5千人弱にまで増加しました。窓口サービス向上に向け、2019年からさまざまなAI多言語音声翻訳アプリを活用する中、2023年4月からは『KOTOBAL』を採用。全区及び関係所属窓口等で導入している端末で『KOTOBAL』を活用するという大規模な導入となりました。急激にニーズが増加したネパール語やベトナム語などの言語も、『KOTOBAL』のAI翻訳でスムーズに対応できるようになり、利用件数は昨年比の7倍にまで上昇。翻訳精度の高さ、操作性の高さが職員から高い支持を集めています。
導入の目的 ネパール人やベトナム人などの外国人住民増加を受け、窓口職員の対応力を向上すること
導入前の課題 外国人住民の数が増加するほか、出身国・地域も多様化しており、さまざまな言語で対応できるツールの導入が必要だった
導入後の効果

全区及び関係所属窓口等で導入している端末でKOTOBALを活用することにより、AI翻訳の使用回数は昨年の7倍に増加。ネパール語やベトナム語の対応も強化された。

急増するネパール・ベトナム人住民への対応が課題

――福岡市では、AI多言語音声翻訳アプリを活用した窓口サービス向上のための実証実験を、2019年から実施されています。その取り組みが始まった背景を教えてください。

植木 様 外国人人口は全国的に増え続けていますが、福岡市でも2019年の時点で4万人弱の外国人が暮らしていました。この人数は平成元年、つまり1989年の約4倍にあたる数値です。従来は英語が使える職員が対応したり、各部署に「指先コミュニケーションシート」を配布したりすることで多言語に対応していました。ただ、福岡市には中国やベトナム、韓国、ネパールといった英語圏以外の住民も多く、アナログな対応では追いつかなくなっていました。そこで多言語翻訳ツールを導入することになったのです。
――特にベトナム人、ネパール人が近年増えていると伺いましたが、人口の推移はどのようなものですか?

植木 様 
福岡市は日本語学校が多いためかネパール人の留学生が多く、ベトナム人の技能実習生も少なくありません。数値で紹介すると、2011年12月末時点のネパール人人口が653人だったのに対し、2023年には8,672人へと大幅に増加。ベトナム人人口も、430人(2011年)から6,715人(2023年)に増加しています。そのほか人数が多いのは中国、韓国の方ですが、永住・就労目的の方が多いため比較的長く日本に住んでいることから、日本語でのコミュニケーションが可能な方も多いと考えられます。ネパール語やベトナム語など、英・中・韓以外の言語にいかに対応するかが重要な課題でした。

――福岡市ではさまざまな翻訳ツールを使用した後に、2023年からは『KOTOBAL』を導入されています。『KOTOBAL』を選定した理由は何でしょうか。


植木 様 提案型の公募を行い、プレゼンテーション審査の結果、『KOTOBAL』が最優秀提案となったことから導入に至りました。評価のポイントの一つとして対応言語数を上げていたのですが、『KOTOBAL』は32言語(2024年2月現在)に対応しており、福岡市に暮らす外国人の95%以上に対応できます。翻訳精度も評価のポイントの一つで、事前にテストした際にも、ネパール語とベトナム語翻訳の精度が高く、福岡市のニーズに合っている点も良かったです。また、タブレット端末1台でAI機械通訳とオペレーターによるビデオ通訳の両方が使えるところも魅力的です。


導入後わずか9カ月で1万4000回にのぼるAI翻訳を活用

――福岡市では全区及び関係所属窓口のタブレット端末にKOTOBALを導入されています。かなりの数ですが、導入時・導入後に大変だった点はありますか?

植木 様 台数が増えた分、多くの職員が利用することになるため、利用にあたってのルールや操作方法を周知徹底することが必要でした。私たちだけで対応するのは大変だったと思うのですが、コニカミノルタの担当者がすべての区役所に対して説明会を開き、製品の仕様や操作方法について細かく説明していただけたので、新ツールの導入はかなりスムーズでした。それに加えて私自身も秋に再度説明会を開いたり、庁内システムの掲示板で「リアルほんやくコンニャク」という比喩を交えて紹介したりすることで、かなり周知が進んだと感じています。
――説明会の実施以外で、コニカミノルタからのサポートはありましたか?

植木 様
 毎月いただく『KOTOBAL』の利用状況に関する報告書についても、「こういう数字がほしい」という要望に沿った内容をまとめていただいており、とても助かっています。翻訳需要を把握するための詳細な言語別利用状況をいただくことや、個人情報の観点から会話内容の詳細報告を不要とすることなど、細かい要望に応じてカスタマイズしていただいています。

――AI機械通訳を中心に利用件数が大幅に増えたとのことですが、どのくらい増加しましたか?

植木 様 昨年度と運用状況やカウント方法が異なるのであくまで参考値ですが、AI機械通訳の使用実績がおよそ7倍に増加しました。最も多いのはやはり英語ですが、ベトナム語やネパール語の使用実績も大きく伸びています。

――操作感や翻訳精度の高さについては、どのように実感されていますか?

植木 様 まず操作感については、非常に直感的に操作できる点が素晴らしいですね。職員には説明会で丁寧に伝えたものの、何しろ各部署で多くの台数も導入しているので、最初のうちは問い合わせも多いだろうと予想していました。ところが9か月経った現在まで、『KOTOBAL』の操作方法に関する問い合わせはゼロ件。ほとんどの職員が迷うことなく操作できているのだと思います。

また、翻訳精度についても想像以上です。『KOTOBAL』を使用する場面は、子育て支援や健康保険、税金など幅広い領域にわたり、日常会話とは異なる専門的な言葉もたくさん出てきます。ところがほとんどの職員はAI翻訳でコミュニケーションを完結しており、オペレーターによるビデオ通訳は、特殊な例を除いてあまり使っていません。2023年4月から2023年12月までの期間で、AI翻訳の利用回数は約1万4000回、対するビデオ通訳はわずか約50回となっています。


ネパール語、ベトナム語をはじめ、あらゆる言語の対応がスムーズに

――実際に『KOTOBAL』を利用した職員の方からの反響について教えてください。

植木 様 今までは対応が難しかった言語を使う住民に対しても、『KOTOBAL』のおかげで円滑にコミュニケーションがとれたという声を多数いただいています。先ほど話したネパール語とベトナム語以外にも、モンゴル語やミャンマー語、タイ語、さらにはアラビア系の言語など、さまざまな言語圏の方が福岡市にはいらっしゃいますが、『KOTOBAL』を活用して対応できています。数値化するのは難しいのですが、導入前と比較し、外国人住民一人当たりの窓口対応時間も一定程度減っているに違いありませんし、住民の満足度も上がっていると思います。さらに、『KOTOBAL』に備わっている、多言語通訳以外の機能も便利ですね。
――多言語通訳以外では、どのような機能をご利用になっていますか?

植木 様 『KOTOBAL』には「やさしい日本語」へ変換する機能があります。これは、通常の日本語で話した言葉を、小学生レベルの平易な言葉に言い換えてくれるものです。やさしい日本語は災害時の情報発信で主に活用しているほか、ホームページで外国人向けに行政情報を発信する際の参考にしています。また、高齢者や聴覚障がい者の対応には「音声筆談」機能が役立っています

――今後どのように『KOTOBAL』を利用していきたいか、期待されることやご要望について教えてください。

植木 様 今後の『KOTOBAL』に期待することとしては、例えばオフライン環境でのAI翻訳や、海外でも利用できる仕様が実現するとさらに嬉しいです。とはいえ、現時点における『KOTOBAL』への満足度は非常に高く、引き続き窓口対応に活用して、あらゆる住民に対して公平なサービスを提供できるよう尽力していきたいです。

――ありがとうございました。

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