通訳と翻訳は何が違う? 多言語に対応する方法とは
近年、訪日外国人旅行者の数は増加しています。2024年6月には約314万人となり、単月としては過去最高を記録しました。
公共交通機関や観光地、宿泊施設などにおいては、訪日外国人旅行者の快適かつ安全な旅行体験をサポートするために多言語対応が求められます。
また、自治体においても在留外国人に対する窓口でのやり取りや情報提供を円滑化するために、通訳・翻訳サービスの提供が必要といえます。
インバウンド対策や在留外国人の対応を行う施設管理者のなかには、「通訳と翻訳にはどのような違いがあるのか」「多言語による円滑なコミュニケーションを実現する方法を知りたい」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、通訳と翻訳の定義や違い、外国人への多言語対応を実現する方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.通訳とは
- 2.翻訳とは
- 3.通訳と翻訳の違い
- 3.1.➀提供形態
- 3.2.②正確性
- 3.3.③コミュニケーションの方向性
- 4.多言語の通訳・翻訳はAIの活用が有効
- 5.まとめ
通訳とは
通訳とは、話し手の言葉を通訳者がその場で別の言語に置き換えることです。
通訳者は、話し手の文脈や背景を踏まえたうえで、異なる言語でも同じ意味が維持されるようにトーン・語調を意識して伝えるスキルが求められます。
主に窓口での会話やビデオ会議を介した手続きなど、相互間のコミュニケーションにおいてリアルタイムかつ即時的な言語の言い換えが必要なシーンで行われます。
通訳の方式には、別の言語を置き換えるタイミングや方法によって主に3つの種類があります。
▼通訳の種類
種類 |
概要 |
同時通訳 |
話し手が発した言葉を即座に変換して、ほぼ同時に内容を訳す |
逐次通訳 |
話し手が一区切りついたタイミングで内容を訳す |
ウィスパリング通訳 |
話し手が発した言葉を、複数の聞き手の傍でささやくように訳す |
同時通訳とウィスパリング通訳では、話し手と通訳者が同時並行で言葉を発します。これに対して逐次通訳では、話し手が発言したあとに通訳者が訳すという交互のやり取りが発生することが特徴です。
翻訳とは
翻訳とは、文章や映像中の言葉を別の言語に変換することを指します。
翻訳者は、翻訳する言語の文法規則や文脈のトーンを理解して、読み手にその意味が伝わるように単語の選定、装飾などを行うスキルが求められます。
主にWebサイトやパンフレット、映像の字幕、案内看板などの訳文を作成するシーンで行われます。翻訳には、分野や言語を変換する対象物によって3つの種類があります。
▼翻訳の種類
種類 |
概要 |
産業翻訳 |
企業や公的機関で取り扱う文書・契約書などを翻訳する |
出版翻訳 |
小説や絵本、雑誌、書籍、歌詞などを翻訳する |
映像翻訳 |
映画や案内動画、セミナー動画などを翻訳する |
インバウンド対策では、観光案内所での看板やデジタルサイネージでの案内動画、Webサイト上の情報提供などにおいて多言語での翻訳が行われています。
通訳と翻訳の違い
通訳と翻訳は、変換された言語の提供形態や正確性、コミュニケーションの方向性などに違いがあります。
➀提供形態
通訳は、ほぼ同時に別の言語への変換を行い口頭による提供を行うのに対して、翻訳では時間をかけて訳文を作成・提供します。
▼提供形態の違い
通訳 |
翻訳 |
|
即時性 |
あり |
なし |
言語の提供方法 |
口頭 → 口頭 |
文章・話し言葉 → 文書 |
通訳では、人と人との意思疎通をスムーズに行えるようにリアルタイムで話し手の言葉を聞き手に伝達する役割があります。これに対して翻訳は、文章や話し言葉の意味を別の言語で文章化する役割を持つことから、即時性は必要とされません。
②正確性
通訳と翻訳では、言語的に求められる正確性に違いがあります。
▼正確性の違い
通訳 |
翻訳 |
必ずしも高くない |
高い |
通訳では、人と人とのスムーズな意思疎通が求められることから、話し手の意図を踏まえて一部の情報を省略したり、別の言葉を使ったりする場合があります。
一方の翻訳では、アウトプットのスピードは重視されません。時間をかけて翻訳や校正を行い、高い精度で情報を提供することが求められます。
③コミュニケーションの方向性
コミュニケーションの方向性が双方向か一方向かという違いもあります。
▼コミュニケーションの方向性による違い
通訳 |
翻訳 |
双方向 |
一方向 |
通訳者は、話し手・聞き手を介して2つの言語で通訳を行います。例えば、英語を話すAさんと日本語を話すBさんを通訳する場合は、英語と日本語の双方向で言語を変換する必要があります。[1]
一方の翻訳者においては、文章や話し言葉のコンテンツを別の言語に変換して、一方向での情報提供を行います。例えば、日本語のパンフレットを英語版で作成したり、英語の動画に日本語の字幕をつけたりするケースが翻訳に当たります。
多言語の通訳・翻訳はAIの活用が有効
訪日外国人旅行者や在留外国人とのコミュニケーションが求められる現場では、多言語での通訳・翻訳を行えるAIの活用が有効です。
日本語で話した内容をリアルタイムで通訳・翻訳してくれるAIサービスを導入すると、外国語対応のスタッフを確保するのが難しい場合にも、コミュニケーションを円滑にとれるようになります。
コニカミノルタが開発した『KOTOBAL(コトバル)』は、AIの機械通訳とオペレーターによる通訳を行えるハイブリッド多言語通訳サービスです。会話の内容を即時に翻訳して、音声とテキストが透明なディスプレイに表示される仕組みにより、双方向でのリアルタイムなコミュニケーションを行えます。
▼ホテルの窓口におけるKOTOBALの活用イメージ
AIによる通訳・翻訳は32言語に対応しているほか、オペレーターを介したビデオ通訳や、高齢者・障がい者向けの音声筆談・手話通訳を実施することも可能です。ホテル・旅館や観光施設のほか、自治体での窓口対応にもご活用いただけます。
AI翻訳についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、通訳と翻訳について以下の内容を解説しました。
- 通訳と翻訳の定義
- 通訳と翻訳の違い
- 窓口での多言語対応を実現するサービス
公共交通機関や観光施設、宿泊施設、自治体の窓口などでは、外国人との円滑なコミュニケーションを実現するための多言語対応が求められます。
通訳は、施設の窓口対応をはじめとする、リアルタイムな意思疎通が求められる場面で必要とされます。翻訳は、主に案内表示やパンフレット、Webサイトなどで多言語での正しい情報を提供する際に必要です。
なかでも宿泊施設や公共施設などの窓口でリアルタイムな通訳・翻訳が必要となる場面では、AIの活用が有効といえます。
『KOTOBAL(コトバル)』は、タブレット1台で最大32カ国の外国語をリアルタイムで通訳・翻訳できるサービスです。話し手が変わるたびにボタンの操作やマイクの切り替えをすることなく、透明ディスプレイを介してハンズフリーでのリアルタイムな通訳・翻訳を行えるため、スムーズなコミュニケーションを実現できます。
AIを用いて自然な会話ができる仕組みについては、こちらのページで詳しく紹介しております。
また、翻訳・通訳の違いや『KOTOBAL』の詳細についてはこちらの資料をご確認ください。
▼KOTOBAL(コトバル)の特徴
- 音声と一緒に翻訳されたテキストを透明ディスプレイに表示できる
- よく使う定型文を登録してフロントでの対応を効率的に行える
- 専門性の高い話題やトラブル発生時などは、専門のオペレーターによるビデオ通話でカバーできる
- 高齢者・障がい者向けの音声筆談・手話通訳に対応している など