ホテル経営に必要な準備とは。成功につなげるために押さえておくポイント


アフターコロナのなか、国内での観光産業が賑わいを取り戻しつつあります。特に近年は、円安の追い風を受けて訪日外国人旅行者によるインバウンド需要が増加しており、宿泊業の売上高もコロナ化前を上回る水準まで回復しています。

▼宿泊業における売上高の推移


画像引用元:総務省統計局『サービス産業動向調査ニュース No60 令和6年6月発行

このような背景を踏まえて、国内旅行客やインバウンドによる宿泊需要を取り込むために、ホテル経営を開始しようとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ホテル経営に関する基本的な知識と成功につなげるためのポイントについて解説します。

出典:総務省統計局『サービス産業動向調査ニュース No60 令和6年6月発行

目次[非表示]

  1. 1.ホテルの経営形態
    1. 1.1.➀所有直営方式
    2. 1.2.②管理運営受託(委託)方式
    3. 1.3.③リース方式
  2. 2.ホテル経営において準備が必要なもの
    1. 2.1.➀開業・運営資金
    2. 2.2.②営業に必要な許可
    3. 2.3.③運営に必要な資格
  3. 3.ホテル経営を成功につなげるポイント
    1. 3.1.➀ターゲット層を明確にする
    2. 3.2.②集客施策を強化する
    3. 3.3.③インバウンド対策を行う
  4. 4.まとめ

ホテルの経営形態

ホテルの経営形態には、大きく4つの方式があります。自社の資本やリソース、経営上のリスクなどを踏まえて選択することが重要です。

➀所有直営方式

所有直営方式は、法人や個人事業主がホテルの土地・建物を所有して運営する経営形態です。ホテルの所有者と運営者が同じになるため、経営方針や運営方法などについて決定権を持てるようになります。

▼所有直営方式の主なメリット・デメリット

メリット
  • 自由かつ迅速な経営判断ができる
  • 収益を自社で独占できる
  • 宿泊客や現場従業員のニーズ・要望を吸い上げやすい
  • 金融機関の融資を受けやすい
デメリット
  • 資金力や運営リソースが必要となる
  • 経営・運営上のリスクが大きい
  • ホテル経営に関する専門的な知識・経験が求められる


②管理運営受託(委託)方式

管理運営受託(委託)方式は、法人や個人事業主が所有するホテルの運営を別会社が受託する経営形態です。 ホテルの所有者と運営者を分離することで、経営の合理化を図れます。

▼管理運営受託方式の主なメリット・デメリット

メリット
所有者
  • 運営マネジメントの負担を軽減できる
  • 専門知識・経験を生かして競争力を高められる
運営者
  • 土地・建物を購入する資金を用意しなくてよい
  • 委託契約による安定した収益を確保できる
デメリット
所有者
  • 経営方針や運営戦略の調整・意思決定に時間を要する場合がある
  • 委託契約による報酬の支払いが必要
運営者
  • 運営責任によるリスクがある
  • 運営に必要な人材確保や設備投資のコストが負担になる場合がある


③リース方式

リース方式は、ホテルの所有者から建物を賃借して、運営会社が主体となって経営を行う形態です。 運営会社は所有者に対してリース料を支払い、ホテルの経営と運営のマネジメントを行います。

▼リース方式の主なメリット・デメリット

メリット

  • 土地・建物を購入する資金を用意しなくてよい
  • 複数のホテルをチェーン展開して事業の拡大を目指せる
  • 経営方針や運営戦略を自由に設定できる

デメリット

  • 継続的なリース料の支払いが発生する
  • 賃貸借の契約や利益配分について交渉が難航する場合がある
  • 経営・運営上のリスクが大きい


ホテル経営において準備が必要なもの

ホテル経営を始める際は、資金の調達や営業許可、資格者の配置などが必要です。

➀開業・運営資金

経営形態によって開業・運営に関する資金の内容や規模は異なりますが、基本的なものとして以下が挙げられます。

▼開業・運営にかかる資金の例

種別

用途

開業資金

  • 土地や建物の購入費
  • 建物の改修費
  • 設備・家具・電化製品・備品の取得費
  • 人材の採用費 など

運営資金

  • 人件費
  • 広告宣伝費
  • 建物の維持管理費
  • 食材費
  • 光熱費
  • 消耗品の購入費
  • 予約管理システム(PMS)の利用料 など

ホテル経営には数千~数億単位の費用が必要になる場合もあるため、金融機関での融資や国・自治体の補助金などを活用して資金調達をすることが重要です。


②営業に必要な許可

ホテル・旅館・民宿といった宿泊施設を運営するには、国または自治体の営業許可を取得する必要があります。宿泊施設の種別や提供するサービス・施設によって、必要な許可が異なります。

▼ホテル経営に関する許可

種別


対象

1.旅館業法に基づく営業の許可

旅館・ホテル営業許可

洋式または和式の構造・設備を主とする施設で旅館業(※)を経営する場合

下宿営業許可

施設により1ヶ月以上の期間を単位として旅館業を経営する場合

簡易宿泊営業許可

宿泊場所を多数人で共用する構造・設備を設けて旅館業を経営する場合

2.飲食店営業許可

ホテル・旅館に厨房がある場合や、食堂・レストランなどで料理を提供する場合

3.公衆浴場営業の許可

大浴場や温泉などの公衆入浴施設での営業を行う場合

※旅館業とは、宿泊料の支払いを受けて人を宿泊させる営業を指す。

出典:国土交通省『旅館業法について』/厚生労働省『営業許可業種について』『公衆浴場法概要


③運営に必要な資格

ホテルの運営では、法令に基づいてさまざまな資格者を現場に配置する必要があります。経営者や現場管理者などが資格を取得しておくと、人材確保にかかるコストを抑えられ、開業をスムーズに進められます。

▼主な資格

●      防火管理者
●      危険物取扱者(乙種4類)
●      消防設備士
●      ボイラー技師(二級)
●      食品衛生責任者 など


ホテル経営を成功につなげるポイント

ホテル経営を成功につなげるには、ターゲット層を踏まえたコンセプトを策定するとともに、宿泊需要を効率的に取り込む施策を行うことがポイントです。

➀ターゲット層を明確にする

宿泊施設の種別やコンセプトを決める際は、ホテルの立地を考慮したうえでターゲット層を明確にする必要があります。

ターゲット層には、ビジネスパーソン・カップル・ファミリー・外国人旅行者などが挙げられます。観光地・地方・都市部では訪れる人の層が変わるため、そのエリアのニーズに応じた宿泊施設とコンセプトを考えることがポイントです。

▼立地・ターゲット層を踏まえたコンセプトの例

立地

ターゲット層

コンセプトの例

都市部の観光地

国内外の旅行者、カップル

街歩きを楽しむ人に快適な滞在を提供するシティホテル

市街地

出張中のビジネスパーソン

交通アクセスと快適な仕事環境が確保された利便性重視のビジネスホテル

地方の自然景勝地

国内外の旅行者、ファミリー層

自然に囲まれて特別な一日を過ごせるリゾートホテル(旅館)


②集客施策を強化する

ホテル経営で安定した収益を確保するには、より多くの宿泊客を集客して稼働率を高めることが重要となります。ホテルのコンセプト・魅力を発信して認知を拡大する集客施策を講じることで、新規の宿泊客やリピーターの獲得につながります。

▼ホテルにおける集客施策

●      宿泊予約サイトに出稿する
●      公式Webサイトで検索エンジンの最適化を行う
●      観光・旅行関連のWebサイトや雑誌に広告を掲載する
●      SNSでホテルの魅力を写真・動画を用いて発信する など


③インバウンド対策を行う

コロナ禍による水際対策が終了した2023年5月以降、インバウンドの回復によって訪日外国人の宿泊者数が大幅に増加しています。

▼延べ宿泊者数前年比の推移


外国人旅行者の宿泊需要を取り込むには、インバウンド対策を実施してサービス品質の向上や付加価値の創出を図ることが重要です。

▼インバウンド対策の例

●      窓口や案内表示の多言語対応
●      キャッシュレス決済の導入
●      外国人宿泊者向けプランの導入 など

ホテルでのインバウンド対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

ホテル・旅館で取り入れたいインバウンド対策7選

出典:国土交通省『宿泊旅行統計調査(2023年・年間値)

​​​​​​​

まとめ

この記事では、ホテル経営について以下の内容を解説しました。 

●      ホテルの経営形態
●      開業・運営に準備が必要なもの
●      ホテル経営を成功につなげるポイント

ホテルの経営形態には複数の方式があり、メリット・デメリットが異なります。安定した収益を確保するには、ターゲット層を踏まえたコンセプトの策定に加えて、集客施策、インバウンド対策を強化することがポイントです。

コニカミノルタが提供する『KOTOBAL(コトバル)』は、ホテルでの多言語対応を実現できる通訳サービスです。AIによる機械翻訳とオペレーターによるビデオ通訳の機能が備わっており、全32言語での音声通訳とテキスト翻訳を行えます。

サービスの仕組みについてはこちらをご確認ください。

リアルタイム通訳

多言語通訳サービスKOTOBAL 資料請求


ハイブリッド多言語通訳サービス『KOTOBAL』


AI翻訳・ビデオ通訳

KOTOBAL(コトバル)は、コニカミノルタが開発した通訳サービスです。
AI機械翻訳とオペレーターによるハイブリッド通訳で、最大32カ国の外国語対応と音声筆談・手話通訳を、タブレット1台で導入可能。
外国人だけでなく、高齢者・障がい者まで、自治体・ホテル・金融機関の窓口業務において、誰ひとり取り残さないコミュニケーションの実現をサポートします。


KOTOBALをもっと詳しく知りたい方はこちらより資料ダウンロードができます

KOTOBAL運営事務局
KOTOBAL運営事務局
KOTOBALは、32言語に対応している「機械(AI)」と「ヒト」の通訳が選べるハイブリット型通訳サービスです。 皆さんの為に、有益な情報をブログを通して提供しております!
ページトップへ戻る