グローバル人材を育成するステップ。効率的なスキルの習得を促すには


人口減少と少子高齢化が進展する日本では、今後国内市場が縮小していくと考えられています。社会経済が変化するなかで企業や自治体が成長を目指すには、グローバル化を通じて海外市場を取り込んでいくことが重要といえます。

また、インバウンドが回復・拡大する今、“訪日外国人を呼び込む”といった観光需要への対応だけでなく、国際的な交流によってビジネス・教育・研究・文化芸術・自然といった分野で新たな価値を創出することも期待されています。

一方、海外市場の開拓や国際交流の活性化にあたっては、語学スキルをはじめとするさまざまな能力が求められます。宿泊業・観光業や自治体では、グローバル人材の育成が課題となっているケースもあるのではないでしょうか。
 
この記事では、グローバル人材に求められる能力や育成するステップ、効率的にスキルの習得を促すポイントについて解説します。


グローバル人材に求められる能力

グローバル人材とは、異なる文化や価値観に対する相互理解を持ち、あらゆる分野での活躍によって新しい価値を生み出せる人材を指します。総務省の『グローバル人材育成の推進に関する政策評価』では、以下のように定義されています。
 
▼グローバル人材の定義

グローバル人材とは、同計画において、「日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できる人材」

引用元:総務省『グローバル人材育成の推進に関する政策評価


また、グローバル人材が備える素質や能力には、大きく3つの要素があります。
 
▼グローバル人材が備える要素

​​​​​​​要素

​​​​​​素質や能力

語学力・コミュニケーション能力

主知性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感

異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ

文部科学省『グローバル人材の育成について』を基に作成


日本の文化に対する深い理解を持ったうえで、多様な文化・社会的な背景を持つ人と意思疎通を行えるコミュニケーション能力や、異文化・価値観の違いに対して興味関心を持ち広い視野で対応する能力などが求められます。

出展:総務省『グローバル人材育成の推進に関する政策評価』/文部科学省『グローバル人材の育成について


グローバル人材を育成するステップ

グローバル人材を育成する際は、自社の国際戦略や将来のビジョンを踏まえて長期的な育成プログラムを立てることが必要です。


①求めるグローバル人材を定義する

自社が求めるグローバル人材を定義します。

現状の人材課題を洗い出して「将来どのような活躍をしてほしいか」といった目標を明確にすることで、育成計画の方向性を定められます。
 
グローバル人材の人物像を定義する際は、国際知識や語学スキルだけでなく、目標を達成するうえで必要となるマインドや行動なども洗い出すことが重要です。


▼グローバル人材の定義例

​​​​​​​項目

​​​​​​​目標とするレベル

業務遂行スキル

リーダーシップ力・コミュニケーション力・人材マネジメント力

語学スキル

外国語で業務上の意思疎通ができ、複数の関係者間で交渉を行う。

マインド

異なる文化・価値観を受け入れる。既存概念にとらわれず新たなことにチャレンジし続ける。

行動

英語で異文化間のコミュニケーションが取れる。責任感を持ち主体的な行動によってチームを統括できる。課題を理解して、目標の達成に向けた行動を自律的に取れる。


②候補者を選定する

グローバル人材として育成する候補者を選定します。

候補者を選定する際は、企業や自治体における国際戦略の内容に応じて、グローバル人材に任せる業務内容・役割を決めておくことが必要です。

また、候補者の知識・スキル・マインド・行動などを客観的な指標で示したリストを作成して、人事評価や業務成績などのデータを基に点数をつけることで、グローバル人材として活躍が期待できる候補者を選定しやすくなります。


③候補者に必要なスキルを洗い出す

候補者を選定したら、グローバル人材に任せる業務内容・役割を踏まえて必要なスキルを洗い出します。一人ひとりの現状スキルと照らし合わせてギャップを可視化することにより、補う必要があるスキルを特定できます。

また、候補者が持つスキルのレベルを点数化して体系的に把握できる仕組みを整えると、一人ひとりの課題に合った育成方法を検討することが可能です。

語学スキルの習熟度については、“CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)”と呼ばれる指標を用いて6段階で評価する方法があります。


▼CEFRの評価段階

​​​​​​​評価段階

等級

​​​​​​​目標とするレベル

熟練した言語使用者
C2

ネイティブスピーカーに近い会話ができる

C1

幅広いテーマについて自分の意見を明確かつ正確に伝えられる

自立した言語使用者
B2

専門的または抽象的な内容について、意見交換や交渉などを行える

B1

身近な話題や関心がある話題について、簡単かつ分かりやすい文章を組み立てて会話ができる

基礎段階の言語使用者
A2

日常的な場面や事柄においてやり取りができる

A1

よく使われる日常的な表現や基本的な言い回しを理解して会話に用いることができる


③人材育成プログラムを策定する

候補者が持つスキルのレベルを踏まえて、人材育成プログラムを策定します。


▼人材育成プログラムの内容例

​​​​​​​目的

プログラムの内容

語学スキルの向上

海外研修
海外留学
語学スクールの受講
オンライン英会話 など

異文化コミュニケーション研修
ハイコンテクスト・ローコンテクスト研修
国際交流による異文化体験 など

異文化理解

ダイバーシティ研修
国際ビジネスマナー研修
自己表現に関するグループワーク
外国人と協働するワークショップ など

グローバルマインドの醸成


人材育成プログラムを策定する際は、「いつまでにどの程度のレベルに到達すればよいか」といった目標を3ヶ月・半年・1年などの期間を区切って定めます。

また、候補者に対して配属予定の部署や期待する役割などを伝えることで、学習のモチベーションを維持しやすくなります。


効率的なスキルの習得を促すポイント

グローバル人材の育成にあたっては、候補者が効率的に学習を進められる仕組みを整える必要があります。


▼スキルの習得を促すポイント
●     フィードバックを繰り返し実施する
●     習熟度に応じてプログラムを見直す
●     多言語通訳サービスを活用した学習を行う

人材育成プログラムを実施する際は、マネージャーや管理者が候補者一人ひとりの学習成果を評価してフィードバックを繰り返すことが重要です。

ポジティブな面だけでなく、課題や弱点などを伝えて自身で振り返る機会を設けることで、今後に求められる行動が明らかになり成長を促せます。候補者の習熟度と研修内容が合っていない場合には、プログラムの内容を変更することも必要です。

また、語学スキルの向上を図るには、外国語でのコミュニケーションを通じてアウトプットする機会を設けることもポイントといえます。実務に役立つ実践的な語学スキルを身につけるには、多言語通訳サービスを活用することが有効です。



まとめ

この記事では、グローバル人材の育成について以下の内容を解説しました。
 
●     グローバル人材に求められる能力
●     グローバル人材を育成するステップ
●     効率的なスキルの習得を促すポイント
 
グローバル人材は、海外市場の開拓や国際交流の活性化に欠かせない存在となり、企業・地域における新たな価値創造を担うことが期待されます。

語学スキルに加えて、異文化への理解や主体性・積極性なども求められるため、求める人物像を踏まえて人材育成計画を立てることが重要です。なかでも語学スキルは、外国語でのコミュニケーションを通じて習得することがポイントといえます。


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