インバウンドの課題と対応策。観光客の受け入れを促進するには


新型コロナウイルス感染症によって一時的に減少していたインバウンドは、コロナ前の水準を超えて回復しており、2024年の訪日外客数は11月時点でこれまでの最高だった2019年の年間累計を上回る数値を記録しました。

▼訪日外客数の月別推移(2017年~2024年)

画像引用元:日本政府観光局『訪日外客数(2024年11月推計値)


一方で、国家規模の経済政策としてインバウンドが推進されるなかで、さまざまな課題も生じています。
 
外国人観光客への対応が求められるホテル・旅館や自治体の担当者のなかには、「インバウンド対応においてどのような課題が生じているのか」「課題を解決するための対応策が知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。


この記事では、宿泊・観光業や自治体におけるインバウンドの課題と対応策について解説します

なお、インバウンドの最新動向についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
【2024年度版】インバウンド観光における最新の動向と課題とは

外国人対応のためのリアルタイム通訳についてはこちらの資料にまとめています。


出展:日本政府観光局『訪日外客数(2024年11月推計値)


宿泊・観光業や自治体におけるインバウンドの課題

インバウンドの課題としては、観光需要の格差解消や付加価値向上を図ることのほか、オーバーツーリズムや多言語コミュニケーションへの対応も挙げられます。

都市部・地方における観光需要格差の解消

日本におけるインバウンド需要は東京をはじめとする都市圏に集中しており、地方の旅館・ホテルや自治体においては観光需要の格差を解消していくことが求められます。

観光庁の資料によると、外国人延べ宿泊者数の約7割が東京・大阪・名古屋の三大都市圏に集中しています。

▼三大都市圏と地方部における延べ宿泊者数の違い

画像引用元:観光庁『令和6年版観光白書について(概要版)


また、インバウンドによる消費額の比較では、東京・大阪・京都に消費が集中しており、インバウンドによる経済効果にも偏りが生じているといえます。

▼地域別の訪日外国人旅行消費額

画像引用元:観光庁『令和6年版観光白書について(概要版)


出展:観光庁『令和6年版観光白書について(概要版)


宿泊・観光の付加価値向上

地方におけるインバウンドを促進するには、宿泊・観光の付加価値を向上させることが欠かせません。

世界の旅行者の旅行志向に関するアンケート結果を見ると、持続可能な観光や地域への貢献、知られていない目的地への関心が高いことが分かります。

▼世界の旅行者の旅行志向に関するアンケート結果

画像引用元:観光庁『令和6年版観光白書について(概要版)


地域ならではの珍しい文化を体験したり、地域文化の持続に貢献したりできるようなコンテンツによって宿泊・観光の付加価値を向上させることで、地方への誘客を促進できると考えられます。

出展:観光庁『令和6年版観光白書について(概要版)


オーバーツーリズムへの対応

インバウンドにおける重大な課題として、オーバーツーリズムへの対応が挙げられます。オーバーツーリズムとは、観光地やその地に暮らす住民の生活の質、および訪れる旅行者の体験の質に対して、観光が過度に与えるネガティブな影響のことです。

地域においてオーバーツーリズムによる過度の混雑やマナー違反などに対応するには、観光客が同一地域・同一時間帯に集中することを防ぐための仕組み作りが重要となります。


多言語コミュニケーションへの対応

インバウンド対応においては、ホテル・旅館や自治体の観光案内所における多言語コミュニケーションが重要となります。

観光庁が2023年度に実施した『訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート』によると、訪日外国人旅行者が旅行中に困ったこととして、多言語コミュニケーションに関する項目が多く回答されています。


▼多言語コミュニケーションに関する旅行中の悩み

​​​​​​項目

割合

観光案内板や地図などにおける多言語表示の少なさ・分かりにくさ

13.4%


施設のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じない等)

22.5%

観光庁『令和5年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」調査結果』を基に作成


多言語コミュニケーションに対応できる施設環境を整えることで、訪日外国人旅行者がより快適に過ごしやすくなると考えられます。

出典:観光庁『令和5年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」調査結果


インバウンドの課題を解決するための対応策

インバウンドの課題を解決するための対応策としては、デジタルマーケティングの強化や体験型コンテンツの導入、DXの促進、多言語通訳サービスの活用などが挙げられます。

①デジタルマーケティングの強化

訪日外国人を地方に呼び込むには、デジタルマーケティングの強化が重要です。

外国からもアクセスできるWeb上でマーケティング活動を展開することで、効率的な集客が行えます。

▼デジタルマーケティングの具体例
●     SNSアカウントや自社サイトでの情報発信
●     インフルエンサーによるキャンペーン動画の配信
●     外国人観光客向けポータルサイトへの情報掲載 など


特にSNSや動画サイトは多くの外国人観光客が出発前の情報源として利用することから、インバウンド向けのデジタルマーケティングを行ううえで欠かせない媒体といえます。

なお、インバウンド集客に役立つ施策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
インバウンド集客に役立つ施策6選。取り組む際の注意点について


②体験型コンテンツの導入

地域ならではの体験ができる体験型コンテンツを導入することで、地域における宿泊・観光の付加価値を向上させられると考えられます。

▼体験型コンテンツの例
●     農泊
●     武道ツーリズム など

農泊とは、農山漁村に宿泊して食事や文化体験を楽しむコンテンツです。農山漁村の豊かな地域資源を活用できる点が特徴といえます。

武道ツーリズムは、世界的にも関心の高い日本発祥の武道を活用したコンテンツです。武道の体験を実施するだけでなく、武道を通じて日本の文化や歴史を体験してもらうことができます。


③IT活用によるDXの促進

ITを活用して地域のDX化を進めることで、オーバーツーリズムにも対応しやすい地域づくりが可能となります。

▼DXによるオーバーツーリズム対策の例
●     アプリケーションやキャッシュレス決済による交通インフラの円滑化
●     観光施設や駐車場における予約システムの導入
●     観光スポット周辺における混雑状況の可視化・リアルタイム配信
 
ITを活用して観光をシステム化することで、混雑の分散によるオーバーツーリズム解消が期待できます。

なお、自治体DXについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください
自治体DXの目的と現状。推進に役立つツールやサービスとは


④多言語通訳サービスの活用

ホテル・旅館のフロント業務や自治体の窓口対応においては、多言語通訳サービスを活用することで、多言語コミュニケーションを円滑に行えるようになります。

英語だけでなく話者を確保しにくい言語についても対応できるほか、スタッフや職員のトレーニングを必要とせずに多言語対応の体制が迅速に整う点もメリットです。

翻訳・通訳サービスの選び方についてはこちらの資料にまとめています。


まとめ

この記事では、インバウンドについて以下の内容を解説しました。

●     宿泊・観光業や自治体におけるインバウンドの課題
●     インバウンドの課題を解決するための対応策


インバウンドにおいては、観光需要の格差解消や付加価値向上のほか、オーバーツーリズムや多言語コミュニケーションへの対応などさまざまな課題があります。

今後のさらなるインバウンド拡大に向けて、マーケティング施策や魅力のある体験型コンテンツによって集客を図ったり、DXの促進や多言語サービスの活用で体験の質を向上させたりすることが重要です。


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