インバウンド対策が重要な時代に。訪日外国人に向けたホテル・旅館での施策4選
2022年10月11日に新型コロナウイルス感染症に伴う水際措置が大幅に緩和されて以降、訪日外国人旅行者の数は大きく増加が見られています。
インバウンド需要が高まるなか、観光・宿泊業界においては外国人観光客を呼び込み、満足度の高い体験価値を提供できる環境を整備することが求められます。
ホテル・旅館の支配人や現場管理者のなかには、「インバウンド対策を実施して外国人の宿泊者を増やしたい」「宿泊者の満足度を高めて口コミやリピーターにつなげたい」と施策を考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、インバウンド対策の重要性やホテル・旅館が取り入れたい施策について解説します。
出典:観光庁『令和5年版観光白書について』/厚生労働省『水際対策強化に係る新たな措置(34)』
目次[非表示]
- 1.インバウンド対策の重要性
- 2.ホテル・旅館におけるインバウンド対策の施策
- 2.1.➀海外への情報発信を行う
- 2.2.②多様な決済方法を用意する
- 2.3.③外国人観光客向けのサービスや宿泊プランを導入する
- 2.4.④多言語対応の体制・環境を整える
- 3.インバウンド対策のまとめ
インバウンド対策の重要性
インバウンド対策は、観光サービスや宿泊施設の利用を促進するとともに、日本での消費活動を増やして経済の活性化を図るために重要な取り組みといえます。
近年、訪日外国人旅行者の数はコロナ禍から堅調に回復が見られています。2021年度における訪日外国人旅行者の数は約25万人だったのに対して、2023年には約2,507万人を超える結果となりました。
▼訪日外国人旅行者の推移
画像引用元:国土交通省『観光の現状について』
また、2023年における訪日外国人の消費額は5.3兆円と過去最高を記録しており、2019年と比較して10.2%増加しています。
▼訪日外国人旅行者による消費額の推移
画像引用元:国土交通省『観光の現状について』
なかでも宿泊費・娯楽等サービス費・交通費に関する消費額の上昇が見られており、ホテル・旅館の需要が高まっていることがうかがえます。
一方で、外国人の延べ宿泊者数については三大都市圏のみで7割を占めており競争が激しくなっているほか、地方との偏在傾向が見られています。
ホテル・旅館が安定した稼働率を維持して収益の向上を図るには、都市圏における競合施設との差別化や、地方に外国人観光客を誘致するための付加価値を提供・発信していくことが求められます。
出展:国土交通省『観光の現状について』
ホテル・旅館におけるインバウンド対策の施策
外国人観光客が宿泊するホテル・旅館では、集客のための幅広い情報発信をはじめ、日本での生活を快適に過ごせる環境づくり、付加価値のある体験の提供などを行うことがポイントです。
➀海外への情報発信を行う
自社のホテル・旅館に外国人観光客を呼び込むには、さまざまなメディアで海外への情報発信を行うことが重要です。
メディアを通してホテル・旅館の魅力や施設内の設備、サービスの詳細などを発信することで、訪日を予定している外国人観光客の目にとまり興味関心を持ってもらえる可能性が期待できます。
▼情報発信に活用できるメディアの例
- 自社のWebサイト
- 宿泊予約サイト(海外OTA)
- 日本旅行会社のWebサイト
- 外国人観光客向けのポータルサイト・口コミサイト
- 旅行ガイドブック
- SNS など
外国人観光客の集客方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
外国人観光客を呼び込みたい! インバウンドに対応した集客方法5選
②多様な決済方法を用意する
世界各国で用いられる多様な決済サービスを用意することも、ホテル・旅館におけるインバウンド対策の一つです。
宿泊費の支払いについて多様な決済方法を選択できるようになると、外国人観光客の利便性が高まり、宿泊予約につながる可能性が期待できます。また、宿泊予約の際に決済方法を選択してもらうと、フロントでのチェックイン・チェックアウトもスムーズに行えます。
▼ホテル・旅館における主な決済方法
決済のタイミング |
決済方法 |
宿泊予約 |
クレジットカード
デビットカード
|
チェックイン・チェックアウト |
現金
クレジットカード
デビットカード 二次元バーコード |
日本に訪れる外国人観光客はアジア圏や米国が多くを占めているため、その国々で用いられている二次元バーコード決済に対応することは必要と考えられます。
また、宿泊中に必要なお金をいつでも引き出せるように、ホテル・旅館の施設内に両替ができるATMを設置する方法もあります。
③外国人観光客向けのサービスや宿泊プランを導入する
よりよい宿泊体験を提供するために、外国人観光客向けのサービスや宿泊プランを導入する方法があります。
国や地域によって文化・習慣は異なるため、宿泊施設では外国人観光客に配慮したサービスの提供が求められます。安心かつストレスフリーで旅行ができるように、交通面や観光のサポートを行うことも必要です。
また、外国人観光客のなかには「周辺の観光地やおすすめの場所を知りたい」「日本の文化を体験したい」と考える人もいます。宿泊者の満足度を高めるには、日本での旅行が楽しくなる魅力的なプランを提供することが重要です。
▼外国人観光客向けのサービスや宿泊プランの例
- 多様な食生活に対応できる食事メニューを提供する
- 宿泊施設内に礼拝室を設置する
- 空港からの送迎サービスやレンタカーを用意する
- 外国人観光客におすすめの飲食店や施設をまとめたガイドマップを提供する
- 近隣エリアでの文化体験や観光ツアーのセットプランを用意する
- 公共交通機関や案内や災害・事故が発生した際の相談先を共有する など
④多言語対応の体制・環境を整える
ホテル・旅館では、外国人観光客との円滑なコミュニケーションをとれるように多言語対応の体制・環境を整える必要があります。
外国人観光客のなかには、言語の壁によるコミュニケーションの不安を感じている人も少なくありません。安心して過ごせる宿泊環境を整備するには、主要な言語による情報提供やコミュニケーションを行える体制・環境づくりが求められます。
▼多言語対応の例
- 多言語でのコミュニケーションがとれるスタッフを配置する
- 施設案内の冊子や看板などを主要な言語で表示する
- 案内表示には説明がなくても伝わるアイコンを表示する
- 自動翻訳ができるツールを導入する など
日本語で話した内容をリアルタイムで翻訳できるツールを導入すると、新たにスタッフを確保するのが難しい場合や、主要言語以外の言語でのコミュニケーションが必要な場合にも対応することが可能です。
コニカミノルタによるリアルタイム翻訳の実証実験では、ハンズフリーのリアルタイム通訳ツールを導入したことにより、「言語の切替操作が不要なことで外国語によるコミュニケーションのハードルが下がった」「会話が円滑になりお客様の対応スピードが上がった」といった効果が確認されています。
なかには「リアルタイム通訳ツールを導入したことにより、口コミに星5の評価が付いた」といった事例も見られています。
なお、ホテル・旅館などの宿泊施設における多言語対応の手段はこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
インバウンド対策のまとめ
この記事では、以下の内容について解説しました。
- インバウンド対策の重要性
- ホテル・旅館におけるインバウンド対策の施策
会話の内容をリアルタイムで翻訳できる音声翻訳ツールを導入すると、外国人との円滑なコミュニケーションが可能になります。言語が異なる世界各国の人との会話をいつでも行えるため、窓口業務や会議、イベントなどに役立ちます。
ただし、音声翻訳ツールによって音声入力の方法や翻訳内容の表示方法が異なります。事前に翻訳の仕組みや対応言語、サポートの内容などを確認しておくことがポイントです。
なかでも外国人旅行者が訪れるホテル・旅館では、幅広い言語での対応かつ対面でのスムーズな意思疎通が求められます。AIによる機械翻訳に加えて、ビデオ通訳やディスプレイへのテキスト表示ができるツールが有効です。
『KOTOBAL(コトバル)』は、コニカミノルタが開発したAIによる機械翻訳とオペレーターによる通訳を行えるツールです。タブレットの導入で最大32カ国の外国語対応と音声筆談・手話通訳を行えるため、言葉の壁による不安をなくして円滑なコミュニケーションを実現できます。
また、会話の際にボタンの操作やマイクの切り替えをしなくても、ハンズフリーでタイムラグのないやり取りが可能となることも特長の一つです。リアルタイム通訳の仕組みや効果については、こちらのページで詳しく紹介しています。
また、『KOTOBAL』の詳細についてはこちらの資料をご確認ください。
▼KOTOBAL(コトバル)の特徴
- 音声と一緒に翻訳されたテキストを透明ディスプレイに表示できる
- よく使う定型文を登録してフロントでの対応を効率的に行える
- 専門性の高い話題やトラブル発生時などは、専門のオペレーターによるビデオ通話でカバーできる
- 高齢者・障がい者向けの音声筆談・手話通訳に対応している など
また、多言語対応充実度チェックリストも提供しております。詳しくは、こちらの資料をご確認ください。