多言語対応の手段とは? ホテル業界と自治体の成功事例4選
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴う規制が緩和された影響もあり、訪日外客数が増加傾向にあります。日本政府観光局(JINTO)の報道発表資料によると、2024年1月・2月の合計は、2023年の同月と比較して約84.2%の伸び率だと推計されています。
▼訪日外客数
2023年 |
2024年 |
伸率 |
|
1月 |
1,497,472人 |
2,688,100人 |
79.5% |
2月 |
1,475,455人 |
2,788,000人 |
89.0% |
合計 |
2,972,927人 |
5,476,100人 |
84.2% |
※日本政府観光局(JNTO)の報道発表資料(2024年3月19⽇発表)より抜粋
出典:日本政府観光局(JNTO)『訪日外客数(2024年2月推計値)』
増加傾向が見られるのは外客数だけでなく、在留外国人数も同様です。なかでも、2023年末は過去最高を記録したとされています。
▼在留外国人数
2021年末 |
2022年末 |
2023年末 |
2,760,635人 |
3,075,213人 |
3,410,992人 |
※出入国在留管理庁の報道発表資料(2024年3月22⽇発表)より抜粋
出典:出入国在留管理庁『令和5年末現在における在留外国人数について』
『【第1図】 在留外国人数の推移』
増加傾向の訪日外客や在留外国人と双方向のコミュニケーションを実現できるよう、すでに国内ではさまざまな場所・場面で多言語対応が進んでいます。
一方で、「多様な国籍には対応できていない」「対応しているが精度が低い」など、対応言語の“数”や“質”に関してはまだ課題を感じているという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、多言語対応の手段をはじめ、訪日外客へサービスを提供するホテル業界、在留外国人を受け入れる自治体に焦点を当て、多言語通訳サービス活用の成功事例を解説します。現在の多言語対応体制を見直したい方はぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
多言語対応の手段
多言語対応を進める手段は、“人的リソース(多言語対応スタッフの配置)”で対応するか、“技術的リソース(機械通訳の活用)”で対応するかの大きく2つに分けられます。それぞれの強み・弱みについてまとめました。
人的リソース|多言語対応スタッフの配置
多言語対応スタッフは、1to1でコミュニケーションを図れるという点が大きな強みです。これにより、パーソナライズされたサポート・サービスの提供が可能になります。
一方で、人材を確保するにあたっては当然ながら、長期的な人件費予算が必要です。さまざまな言語への対応かつ常駐ともなると複数名必要になる場合もあり、高額な予算を要する可能性があることが弱みとして考えられます。
予算を抑えるためには、“ビデオ通訳”を活用し、遠隔での対応を検討してみるのも一つの方法です。
強み |
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弱み |
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技術的リソース|機械通訳の活用
機械通訳(翻訳・通訳デバイス)の活用は、誰でも即座に言語の壁を低減できるという点が大きな強みです。複数の言語をカバーできる点も機械通訳ならではの強みといえます。また、スタッフの配置と比較するとコストを抑えられるという点もポイントです。
弱みとして、専門用語の誤訳リスクがあることや、感情表現のニュアンスを捉えきれないことなどが挙げられます。
利用サービスによって対応言語数や翻訳精度が異なるため、導入時は必要な言語が含まれているか、利用シーンに適した翻訳性能を持っているかを確認することが大切です。
強み |
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弱み |
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ハイブリッドサービスの活用
多言語対応スタッフの配置と機械通訳の活用は、強み・弱みが表裏一体のため、どちらか一方で万全の対応を求めるのは難しい場合もあります。
そのようなときは“ハイブリッドサービスを活用する”という方法も有効です。
機械通訳で24時間365日の常時対応体制を築きながら、機械通訳での対応が難しい場合はビデオ通訳で個別対応することが可能になります。
これにより、対応言語の“数”と“質”双方の問題解決につながります。
ハイブリッド多言語通訳サービス『KOTOBAL』
KOTOBAL(コトバル)は、コニカミノルタが開発した通訳サービスです。
AI機械翻訳とオペレーターによるハイブリッド通訳で、最大32カ国の外国語対応と音声筆談・手話通訳を、タブレット1台で導入可能。
外国人だけでなく、高齢者・障がい者まで、自治体・ホテル・金融機関の窓口業務において、誰ひとり取り残さないコミュニケーションの実現をサポートします。
▶KOTOBALをもっと詳しく知りたい方はこちらより資料ダウンロードができます
自治体の多言語対応事例
ここからは、多言語対応を実現した自治体の事例を2つ紹介します。
どちらも多言語対応スタッフと併せて、機械通訳とビデオ通訳を状況に応じて活用していることが成功のポイントになっています。
事例1|土浦市役所 市民生活部 市民活動課 国際係 様
通訳コストを4分の1に削減!
しかも通訳課題をタブレット1台で解消!
行政用語も対応しているので気軽に使え、在住外国人も安心して利用できる市役所を実現。
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導入の背景
- 市内在住外国人の増加に伴い、通訳が求められる機会や使用言語の幅が広がっている
- 通訳職員を任用しているが万全でなく、各窓口の職員が時間や労力をかけて対応していた
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導入の決め手
- AI通訳とビデオ通訳をタブレット1台ででき、通訳職員ではカバーできない多くの言語に翻訳できる
- 一般的な翻訳アプリでは難しい、行政用語や自治体専門用語にも精通している
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導入後の効果
- 人材派遣通訳と比較して費用を4分の1程度に抑えられる上に、窓口対応の時間的コストも大幅に削減できた
- 職員も説明が通じていると実感でき、安心して応対できるようになった
▶土浦市役所 市民生活部 市民活動課 国際係 様 のKOTOBAL事例インタビューはこちら
事例2|埼玉県 川口市 市民生活部 協働推進課 多文化共生係 様
高精度のAI通訳で多岐に渡る相談対応も万全に
複雑な会話もオペレーター通訳で安心
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導入の背景
- 増加する外国人住民への相談窓口等での対応力向上
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導入の決め手
- トルコ語に対応できる人材が不足しており、使用していたAI通訳機の性能では不十分だった
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導入後の効果
- トルコ語対応を含む外国人住民への対応がスムーズになった
▶埼玉県 川口市 市民生活部 協働推進課 多文化共生係 様 のKOTOBAL事例インタビューはこちら
ホテルの多言語対応事例
続いて、多言語対応を実現したホテルの事例を2つ紹介します。
どちらも機械通訳・ビデオ通訳と併せて“透明ディスプレイ”を活用しており、顧客と目を合わせて多言語対応できる環境を構築したことが成功のポイントになっています。
事例3|京王プレリアホテル札幌 様
KOTOBALがホテル業界の常識になると確信した。
危機迫る緊急対応・・・その時もKOTOBALに助けられた。
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導入の背景
- 顧客の約1/3が外国人でありながら、外国語対応可能な人材の確保も困難な状況であった。
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導入の決め手
- 未来型のツールに加え有人サポートに特化しており、現場スタッフの安心感に繋がった。
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導入後の効果
- 通常のフロント対応はもちろんのこと、緊急対応を要する場面においてスムーズに対応可能になり、お客様の安全を確保することができた。
▶京王プレリアホテル札幌 様 のKOTOBAL事例インタビューはこちら
事例4|セントラルホテル武雄温泉駅前店 様
外国人観光客との会話がスムーズに!
『KOTOBAL』が増やしてくれた、お客様とスタッフの笑顔
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導入の背景
- 急増する東アジア圏からの観光客への多言語対応
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導入の決め手
- 英語以外の多言語対応ができる人材が少なく、宿泊客とのコミュニケーションが困難だった
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導入後の効果
- チェックイン時の待ち時間が大幅に減少し、顧客満足・従業員満足の両方が向上した
▶セントラルホテル武雄温泉駅前店 様 のKOTOBAL事例インタビューはこちら
多言語対応のポイントまとめ
この記事では以下の内容について解説しました。
- 多言語対応の手段
- 人的リソース|多言語対応スタッフの配置
- 技術的リソース|機械通訳の活用
- ハイブリッドサービスの活用
- KOTOBAL
- 自治体の多言語対応事例
- 土浦市役所 市民生活部 市民活動課 国際係 様
- 埼玉県 川口市 市民生活部 協働推進課 多文化共生係 様
- ホテルの多言語対応事例
- 京王プレリアホテル札幌 様
- セントラルホテル武雄温泉駅前店 様
多言語対応を実現する手段は、人的リソースと技術的リソースの2つが挙げられます。どちらも強み・弱みを持ち合わせているため、シーンに応じて双方を使い分ける発想も大切です。
今回ご紹介した事例を参考にしていただき、自組織の多言語対応策の検討に役立てていただければ幸いです。