小平市は自然豊かで暮らしやすい、人気のベッドタウンであり、学園都市としても知られています。人口20万人弱と、東京26市では6番目の規模。
近年は外国人住民が増加傾向にあり、2025年1月時点で6325人と10年前に比べ2000人以上増えています。
国籍・地域別では中国、ベトナム、朝鮮、フィリピンの順に多く、多言語化が求められる状況でした。
そこで、機械通訳や日本語の文字おこしができる「KOTOBAL」の検討を始めました。外国人対応のみならず聴覚障がい者への対応も期待できることが評価され、令和7年4月に導入を開始。導入して間もないながら、さまざまな部署での活用が進んでいます。
栁原様:はい。そこが大きな理由です。ただ、多文化共生ということで国籍や障がいの有無に関わらず、お互いを理解することを目指しています。
栁原様:今後、多文化共生担当がどのような活動をしていくかを検討するにあたり、職員向けに困りごとの調査を実施しました。その結果、窓口対応において言葉の壁による不便さを感じている声が多かったのです。
対策を講じようとした矢先、東京都主催によるユニバーサルコミュニケーション技術体験イベントがありました。そこでKOTOBALを知り、導入を進めていきました。
栁原様:英語を話せる職員が、その都度呼ばれる形で対応していました。また、一部の窓口では簡易的な翻訳機器を独自に購入していました。
栁原様:まずは費用感、ディスプレイの視認性、持ち運びやすさ、今後の拡張性を重視しました。
栁原様:据え置き型の透明ディスプレイは視認性が高く、聴覚障がい者の方に対しても、コミュニケーションが円滑になると感じました。
また、ディスプレイと切り離せば、タブレットだけでも使用できるので、現場に出向いたり自宅に訪問する際にも使えそうだなと思いました。
拡張性に関しては、すでに遠隔手話通訳を導入しており、KOTOBALにも同様の機能があったので将来的には一体化の可能性も感じております。
栁原様:総合受付は外国人の方も多く来られます。まずは、そこでのご案内をスピーディにしたいという要望があり、透明ディスプレイを設置しました。障がい支援課もまた、耳が不自由な方の対応が求められるということで設置しました。同じ建物に高齢者の支援部署があることも理由のひとつでした。
残り1台は各課から要望があった際の貸し出す用として、全庁で共有する形でスモールスタートしました。
栁原様:市における多文化共生は国籍の違いだけでなく、障がいの理解も含まれます。
そのため、当初から両者にマッチするものを探していました。KOTOBALは音声筆談の正確性が高く、両者に対応できることで事業化しやすかった側面もあります。
栁原様:機械通訳と、日本語の文字起こし機能である音声筆談になります。
栁原様:まだデータが少ないですが、機械通訳が主に使われています。
なお、今週末にデフアスリート(聴覚障がいをもつ選手)による陸上教室を開催します。そこでは、音声筆談を使って司会者の声をスクリーン投影する予定です。そのような試行錯誤を続けながら、会議や研修など幅広く活用していきたいと考えています。
栁原様:操作体験会では、翻訳の正確性やスピードについての評価が高かったです。利用頻度も徐々に高まっており、「現場にタブレットを持って行ったところ助かった」という声をもらっています。
栁原様:小平市ではウクライナ避難民の方に対する支援をしています。当初はお互い片言の英語でぎこちなかったのですが、ウクライナ語でやりとりができるとわかった瞬間からたくさんお話しをしてくれて。表情も豊かになり、コミュニケーションが円滑になりました。
栁原様:まずは、どの言語の需要が高いのかを見ていく予定です。調査結果に基づき、今後の各種多言語対応にて何語を追加すべきか、全庁的にアドバイスができると考えています。
※AI補正機能とは
意図しない翻訳結果が表示された後に、ボタンを押すと正しい翻訳結果に修正される機能。(25年7月リリース)
Ex.)国保年金課は誤解です。⇒ 国保年金課は5階です。
栁原様:KOTOBALを初めて使う人が、誤訳に対するネガティブがなくなるきっかけになるのではと感じました。誤訳や噛んでしまった際に言い直すのではなく、積極的に使っていきたいと思います。
栁原様:これまでは外国人や聴覚障がい者の方への対応に時間がかかっていました。また、正確にこちらの意図を伝えることができていない状況でした。そういった壁を払拭し、誰とでもスムーズにコミュニケーションが取れる「伝わる市民対応」を新機能も活用しながら実現していければと思います。
栁原様:これまで、小平市では外国人対応を含む多文化共生の専属部署がありませんでした。令和6年4月から多文化共生担当という部署ができ、国際交流はもちろん多文化共生をテーマに活動しています。