板橋区教育委員会/板橋区立板橋第三中学校様 言葉の壁を取り除き、先生の業務負荷も軽減。
転入後すぐに生徒同士が交流でき、誰もが安心して学べる環境づくりを実現。

板橋区教育委員会様は、2025年4月からモデル事業として多言語通訳サービス『KOTOBAL』を複数の学校に導入。先生や生徒が自分自身で手軽に意思疎通を図れる双方向コミュニケーションツールとして、学活や授業、面談など多くのシーンで活用されています。

今回は、教育委員会ご担当者の山本様と導入校のひとつである板橋第三中学校の田村先生にお話を伺いました。

板橋区教育委員会 山本様と板橋第三中学校 田村先生

まとめ

  • お客様名 板橋区教育委員会/板橋区立板橋第三中学校
  • 業種 教育委員会/区立中学校
  • 課題 多国籍に渡る外国人児童生徒の増加に合わせた多言語対応/ボランティア通訳の不足
  • 目的 外国人児童生徒・保護者とのコミュニケーションの円滑化/通訳依頼の業務効率化
  • 効果 先生と生徒、生徒同士のコミュニケーションを活性化/ボランティア通訳の依頼・日程調整にかかっていた先生の業務負荷軽減に期待
インタビューにご協力いただい山本様と田村先生

導入の背景

「他の通訳サービスでは対応していない言語」「AI翻訳とオペレーター通訳を選んで利用できる点」が決め手

中国、韓国をはじめフィリピン、ベトナム、ネパール、台湾、ミャンマーなど、ここ数年で日本語指導が必要な外国籍の児童生徒が急速に増加し、多言語対応が課題となっていた学校現場。携帯型の翻訳機では対応できない言語があったり、「ことば支援員」と呼ばれるボランティア通訳を希望日にアサインできなかったりといった問題を解決するため、新たな通訳サービスの導入を検討されていました。

山本様:板橋区は海外から転入してくる外国人児童生徒が多く、新入生の三分の一が外国人児童生徒という区立学校もあるなど、増加傾向にあります。

児童生徒や保護者との円滑なコミュニケーションを図るため、授業ボランティア通訳を行う「ことば支援員」というボランティアスタッフを区から派遣していますが、授業内通訳の需要が増える中で、最もニーズのある中国語に対応できるスタッフの数が足りない、ボランティアなので活動範囲が限られるなど、個々のマッチングが難しい点が課題でした。

こうした課題に適した通訳サービスを探していたところ、同じ板橋区の他部署で『KOTOBAL』を導入していて、非常に評判がよかったんです。「うちでも使ってみたい」ということで、コニカミノルタさんに相談しました。

無料のweb翻訳や携帯型の翻訳機器も試してみたのですが、翻訳のスピード感やクオリティの面でも、他のサービスと比べて精度が高いと感じました。また、他のサービスですとAI翻訳はAI翻訳用のツール、オペレーター通訳はオペレーター通訳用のツールというふうに分かれていますが、『KOTOBAL』は一つのアプリ内でどちらのツールもすぐに使える点が便利です。

32の言語に対応している点も魅力ですね。学校現場ではネパール語の需要もあるのですが、『KOTOBAL』がネパール語に対応しているのは大きなポイントでした。

オペレーター通訳は保護者面談での利用を想定していますが、オペレーターがすぐに出てきてくれるのが心強いですし、機械ではなく人が対応してくれる安心感もあります。デリケートな話題の際には保護者や先生、双方に配慮した通訳をしてもらえるなど、通訳に“人の温度”を感じますね。

トライアルで「使いやすさ」と「翻訳スピードの速さ」を体感し、本格導入へ

トライアル利用を経て、本格導入へ。決め手は「使いやすい」「速い」「精度が高い」といった“現場の声”だったといいます。

山本様:2025年の4月に導入しました。板橋区内のモデル事業として、35台を学校に配布、5台を貸し出し用として、計40台利用しています。

本格導入前には、複数の区立学校で1ヶ月ほどトライアル使用をしていただきました。先生からも生徒からも「使いやすい」と高評価だったため、その後、本格導入となりました。

本格導入の前には、コニカミノルタさんが『KOTOBAL』を導入する学校の先生方に対して対面で操作研修を行ってくださいました。実際に使用する『KOTOBAL』端末を使いながら操作説明を受けられたので、学校現場で先生方が使ったことのある状態でスムーズに利用開始ができたと思います。

田村先生:立ち上がりが早い、翻訳スピードが速い、この点は学校現場で非常にメリットですね。それに、言葉に詰まってしまったり、多少言い間違えてしまったりしても、『KOTOBAL』は自動でニュアンスを整えながら翻訳してくれるので助かっています。

導入の効果

生徒の顔を見ながら話すことで、理解できているかを確認しながら連絡事項を伝えることができる

実際に日々『KOTOBAL』を使ってくださっている田村先生。その翻訳スピードに驚かされるとともに、文化や習慣の違いも細やかに顔を見て伝えることができ、生徒とのコミュニケーションが各段に深化したと感じてくださっています。

田村先生: 私は、朝の学活と帰りの学活で毎日使用しています。

学活ではたくさんの情報を伝えますので、事前に連絡事項が分かっている場合は『KOTOBAL』に入れておいて渡します。『KOTOBAL』は話している内容をその場で文字に起こしながら翻訳してくれるので、生徒の顔を見ながら話すことができます。理解できているか、不安そうにしていないか、フォローが必要だな、など、その後の指導に繋げられるのは大変ありがたいですね。多くの場面で救われました。

他にも、健康診断や避難訓練など、外国人生徒の母国にはなかったり、やり方が違ったりする行事の際に『KOTOBAL』は頼りになります。

一日の流れでいうと、朝の学活時に『KOTOBAL』を外国人生徒に渡します。生徒は『KOTOBAL』を手元に置き授業を受け、帰りの学活時に担任の私へ返却します。休み時間も自由に『KOTOBAL』を使えるので、生徒同士のコミュニケーションの助けにもなっているようです。そういう空気が作れる点も、良いですね。

実際に使ってみて、翻訳スピードが非常に速いのに驚かされました。ニュアンスが難しかったり長文になってしまったりしても、翻訳が形になっている点もすばらしいですね。『KOTOBAL』が翻訳したものを見て「ああ、この単語を使うともっと上手く伝わるのかな」と気付くなど、我々も勉強させてもらっています。

「KOTOBAL」を使った生徒同士のコミュニケーションが、言葉の壁を越えて交流を深めた

『KOTOBAL』は先生と外国人児童生徒だけでなく、生徒同士の交流を深めるのにも大きく寄与しているという田村先生。驚きと感動のエピソードを披露してくださいました。

田村先生:現在、私が受け持つクラスで『KOTOBAL』を使ってコミュニケーションを取っているのは1名です。生徒自身は日本に来たばかりで日本語の習得はこれからというところですが、保護者やきょうだいはある程度日本語が分かるため、中学校で日本語指導を受け、家ではきょうだいから日本語を学んでいると聞いています。

そのような状況であっても、『KOTOBAL』があることでクラスメイトとのコミュニケーションが取れているようで安心しています。『KOTOBAL』は直感的に操作できるので、私がいない場面でもどんどん活用してくれていますね。外国人生徒が母国のことを話したり、周囲の生徒が何か困っていることはないかと気にかけてあげたりと、いい空気が生まれていると思います。

実は、非常に驚いたエピソードがあるんですよ。この外国人生徒は女子生徒なのですが、転入してきた最初の週末に、クラスの女子生徒数名と遊びに出かけたというんです。本来ならばお互い母国語ではない英語を使って会話をするため打ち解けるにも時間が掛かるはずですが、間に『KOTOBAL』が入ることで、こんなに短い期間で友情が生まれたんだと胸が熱くなりましたね。しかも遊んだという日は休日なので、『KOTOBAL』を貸し出したりしていません。彼女たちの会話はおそらく英語だったでしょう。お互いへの興味や好意が言葉の壁を越えた。確実に『KOTOBAL』の効果だと思います。そういうところにも『KOTOBAL』の可能性を感じています。

また、転入生というのは珍しいですから、他のクラスの生徒が見に来たりすることがあるんです。そこで声をかけられても上手く返せなかったりするものですが、先に交流が温まっている同じクラスの生徒たちが間に入って外国人生徒のことを紹介してあげている場面も見かけました。翻訳サービスというと一対一のイメージがありましたが、『KOTOBAL』は集団のコミュニケーションにも大いに活用できるのだと感じています。

「2,3日かかっていた通訳士との日程調整」にかかる、先生の業務負荷軽減にも期待

先生の業務負荷を軽減する役割も果たす『KOTOBAL』。保護者面談の際、ボランティア通訳の日程調整にかかっていた時間や労力が一切不要となり、学校現場のDX化にも期待されています。

田村先生:教員にとって、面談の日程を組む作業は非常に労力も時間もかかります。生徒とその家庭それぞれの希望日時を優先しつつ重ならないように調整していく中で、特別な配慮のいるご家庭との面談日にボランティアのことば支援員さんを上手くマッチングできるかというと、なかなか難しい面があるんです。

実際に保護者面談でKOTOBALを利用した場面はまだないです。ただ、体感的には2,3日かかっていた調整作業が、『KOTOBAL』があればかなり軽減されるんじゃないかと思います。非常にありがたいです。

山本さん:教員の負担減も『KOTOBAL』導入の目的の一つなので、嬉しいです。

田村先生:これまでも外国人生徒を受け持ったことはありますが、その時はWEB翻訳を使ったりしていました。プリントや教材に書かれている文字をWEBで翻訳して生徒に見せるという使い方でしたが、これだと会話でコミュニケーションを取ることが難しく、もし何か困っていることがあったとしてもSOSを発信しにくかったと思うんです。気付いてあげられなければ手を差し伸べられませんから、歯がゆい思いをしたこともありました。

『KOTOBAL』を使うようになって、顔を見て話し、必要なケアを即座にできるようになった。会話を通してリアルタイムでコミュニケーションが取れるのは、とてもありがたいですね。

KOTOBALを活用する田村先生
今後の展望について語る田村先生

今後の展望

『KOTOBAL』の活用が、“誰一人取り残さない教育”の実現を加速するきっかけに

『KOTOBAL』の導入・活用によって、板橋区が抱えておられた外国人児童生徒の受け入れに関する課題は加速度的に解決しつつあります。今後はさらに台数を増やし、より細やかな教育の実現を期待されています。

田村先生:『KOTOBAL』はすごく感度がいいので、周囲の声も拾ってしまい、私が話したこととくっついて翻訳されることがあります。その場合は一旦止めて話し直すのですが、前に話したことが画面に残っている。必要ないところをサッと消せるようになるとありがたいです。

それと、今は学校全体で1台の『KOTOBAL』を使っていますが、他学年から貸してほしいと言われることもあります。今後新たに外国人生徒が転入してきたら、『KOTOBAL』を譲らなければいけない日がくるかもしれません。(山本様に向かって)ぜひ『KOTOBAL』の台数を増やしてください。

山本様:そうですね(笑)。現在はモデル事業なので、今後は各学校へ配置する台数を増やし、『KOTOBAL』を活用してより円滑なコミュニケーションに役立ててもらえたらと思っています。

田村先生:『KOTOBAL』で意思の疎通ができるようになったからこそ、これまで受け持ってきた外国人生徒に対する自分の関わり方を振り返ることがあります。「誰一人取り残さない教育を」という思いが改めて強くなりました。

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